日々の臨床のTIPS
・脂質、血圧、尿酸などの生活習慣是正の効果と薬物の必要性についての話すとき
- 生活習慣病とはいえ、生活習慣の是正で必ず正常化するわけではない。
- 遺伝的、体質的、今までの積み重ね(≒経年劣化)により、下限値はある程度決まっている。
- 生活習慣の是正は重要だが、もともと下限値が高い人に関しては、薬物的な治療をするほかない。
・50代の患者さんから、コレステロールの治療は医者によって要るとか要らないとか意見が分かれているのですねといわれたときの返事
- 悪玉コレステロールが、動脈硬化のリスク因子であることははっきりしている。
- スタチンなどで治療すれば、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の発症率は下がる。
- ただ、どの段階から治療を開始するのが最も適切かという点では、医者によって意見が変わるとは思う。
- 50代で、不摂生もしていなくて、肥満でもなく、血圧も高くない。その人の脂質異常を治療するかどうかは、医者によって意見は分かれると思う。
- 現時点で、年齢やコレステロール値などの諸条件が同じような人でも、今年初めて高くなった人と10年以上ずっと高い人でも違う。
- ガイドラインでは、いろいろな要素を点数付けして治療の可否を決めるようなものもあるが、結局その人にとって適切な条件かどうかは不明。その数式に従って、治療をすればどうなるかという部分が結局は不明。
- 私は、心筋梗塞とかのカテーテル治療していた時期があり、動脈硬化の最も重症な合併症を見てきたので、内服1つで発症確率を下げられるのなら、さっさと治療したほうがいいとは思っていて、治療が前のめりなのは確かだと思う。
一応、このような説明で納得していただけました。
・エビデンスがないというときには、2つのケースがある
- 1つは、臨床試験の結果などを総合的に判断して、有効性がないというエビデンスがあるときに、その治療にはエビデンスがないという言い方をします。
中性脂肪に対するフィブラートや、糖尿病に対するSU薬による治療で心血管疾患が減らないなど。 - もう一つは、治療法の有効性を検討する臨床試験自体が存在しないというとき。
これは、臨床医が必要と判断した状況での、強心薬の使用や補助循環の使用などが当てはまります。
臨床試験のデザインができず、エビデンスがないというときにも、エビデンスがないと言います。ただ、その治療が否定されているわけではないので注意が必要です。 - 一つ目の時には、その治療は否定されているので行うのは適切ではなく、二つ目の時には、その治療が否定されているわけではないので、適切な判断のもと実施される必要があります。