はじめに
私は、投資の勉強を始めたときに手にしたのが株の売買方法の本ばかりで、株をどう買って売るのかということばかりに集中していて、全体像がまったく見えていない状態でした。
ただお金を増やすことが目的ではなく、老後の生活資金を確保し、退職後も安心して暮らせるだけの資産を築くことが、私にとって本当に大切な目標だと、数年前にようやく気づきました。
そしてその目標を達成するには、「どのような資産に、どれだけの割合で投資するか」という資産配分(アセットアロケーション)がとても重要であることを知りました。
さらに、アセットアロケーションを考えるうえでは、目標だけでなく、自分がどのくらいのリスクに耐えられるか(リスク許容度)も大事な要素だということも学びました。
この記事では、アセットアロケーションの定義、役割、設計の流れに加えて、「リスク許容度とは何か」についても丁寧に解説していきます。
アセットアロケーションとは?
アセットアロケーション(Asset Allocation)は、全資産を異なる資産クラス(株式、債券、現金、不動産、金など)にどのような割合で配分するかを決定する戦略です。
投資の世界では、「最終的なリターンの8割以上はアセットアロケーションによって決まる」と言われるほど、基盤的な要素です。
この配分が適切でないと、どんなに良い銘柄を選んでもパフォーマンスが不安定になったり、想定以上の損失を出してしまうリスクがあります。
目標があるから配分が決まる
アセットアロケーションは、なんとなく配分するのではなく、人生の目標に基づいて設計すべきものです。
たとえば:
- 60歳までに3000万円を貯めたい
- 65歳以降は年間200万円の配当収入が欲しい
- 子どもの教育費として10年後に500万円が必要
これらの目標があることで、必要なリターンが見えてきて、それに合ったリスクの取り方が明確になります。
リスク許容度とは何か?
リスク許容度とは、「資産が減ったときに、どこまで冷静でいられるか」の度合いを指します。
たとえば、保有資産が一時的に30%下落しても動揺せずにいられる人もいれば、5%の下落で不安になって売ってしまう人もいます。
リスク許容度は以下の3つの要素から決まります:
- 心理的要因(感情):価格の変動に対して、どれくらいストレスを感じるか。
- 経済的要因(余裕度):収入や貯蓄がどの程度あり、一時的な損失に耐えられるか。
- 経験的要因(知識と経験):投資経験が豊富な人ほど、大きな変動にも冷静でいられる傾向があります。
このリスク許容度を把握せずに高リスクな商品に偏った配分をしてしまうと、暴落時にパニックになって売却してしまい、長期的な成果を損なう原因となります。
アセットアロケーション設計のステップ
- 目標の明確化:全資産を把握し、さらに資産はいつまでに、いくら必要かを決める。
- リスク許容度の確認:どの程度の価格変動に耐えられるか(例:30%の下落でも冷静でいられるか)。
- 運用期間の見積もり:何年保有できるのか(長期か短期か)。
- 資産クラスの配分決定:成長重視なら株式中心、安全重視なら債券や現金を厚めに。
- リバランスの実施:定期的に配分を見直して、当初の比率に戻す。
まとめ
アセットアロケーションとは、資産をどこに・どれだけ投じるかという単純な話ではなく、「目標に向けて資産をどう使っていくか」の設計図そのものです。
資産運用で成果を出すには、個別の銘柄選びよりも、まずこの全体戦略を練ることが肝心です。
そしてその土台には、「自分はどれだけのリスクを取れるか(リスク許容度)」という、非常に個人的な要素の理解が不可欠です。
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