不動産投資をしなかった理由──私の判断の整理

はじめに

資産形成を考える際、「不動産投資」という選択肢は多くの人が一度は検討するものではないでしょうか。

私もかつては「資産が1000万円を超えたら不動産投資をすべき」という話を聞き、検討してみたことがありました。けれど最終的には、今まで不動産を持たないという判断をしてきました。

この記事では、私が不動産投資をしなかった理由を、自分の思考の整理も兼ねてまとめます。


「1000万円を超えたら不動産投資」という通説

投資を始めたころに、「投資資金が1000万円を超えたら不動産に回すべき」という意見を聞いたことがあります。 レバレッジを効かせやすく、株式や債券とは異なるリスク分散効果もあるでしょう。

しかし私はこう考えました。

  • 投資用不動産の選定に自信がない
  • 最低投資額が数百万円からになる
  • 借金を背負うことに抵抗がある
  • 投資というよりは、不動産賃貸という事業の経営であり、副業として始めるにはハードルが高い。 (借り入れをして、物件を仕入れて、入居者を探して、賃貸して、収益を得るのだから事業だと思っています)

この時点で、不動産には消極的になりました。


不動産投資にかかるコストとリスク

消極的になったうえで、調べていくとさらに消極的になりました。

ローンやランニングコストの重さ

不動産を持つ以上、ローン返済や固定資産税、修繕積立金などのランニングコストが常につきまといます。ローンを組んで家賃収入と相殺しても、空室や想定外の修繕が発生すればすぐに赤字になる可能性があります。

不動産特有のリスク

  • 自然災害リスク:地震や洪水で建物が大きく損壊する可能性がある
  • 周辺環境の変化:治安の悪化や地域の衰退による価値の低下・入居率低下
  • 流動性リスク:株式のようにすぐ売却できず、現金化に時間がかかる

加えて、日本では建物価値は築年数とともに目減りし、最終的に土地の価格しか残らない可能性が高いです。


私が不動産投資をしなかった具体的な理由

これらを踏まえて、私には不動産投資(実際は賃貸事業)は向かないなと思いました。

具体的には、

1. 経験不足と不安

私はこれまで自分の自宅としても不動産を所有したことがなく、売買や賃貸経営の経験もありません。未経験の分野に数千万円単位の資金を投じることはリスクが大きいと感じました。

2. 物件選定の難しさ

人口減少の進む日本では「この先も需要が続く地域」を見極める必要があります。しかしそれを判断する自信がありませんでした。調査や勉強をしても、思い描くような明確な答えを得られなかったのです。

3. 管理の煩雑さ

賃貸経営では以下のようなことが必要になります。

  • 入居者の募集・契約・退去手続き
  • 家賃滞納への対応
  • 修繕やクレーム対応
  • 管理会社との交渉

管理会社に外注しても、手数料の負担があります。しかも「管理会社が必ずしも優秀とは限らない」ことも不安要素でした。

4. 住民とのトラブルリスク

入居者とのやり取りやトラブル処理に時間と労力を奪われる可能性があります。私は日常生活をなるべくシンプルに保ちたかったので、これも大きな懸念点でした。

5. 借金への抵抗

レバレッジを活用すれば効率的に資産拡大できるという意見もあります。しかし私は「借金を背負うこと」自体に心理的な負担を感じました。株やETFのように、現金で完結する投資の方が精神的に安心できます。

6. 実質利回りの低さ

シミュレーションしてみると、表面利回りは高く見えても、実際には次のようなコストで削られます。

  • 修繕費
  • 管理費
  • 固定資産税
  • 空室による家賃収入減少

結果的にREITや高配当株と大差ないどころか、それ以下になることもあるかと思います。


REITや株式投資で代替できるという考え

REIT(不動産投資信託)

不動産投資のメリットは「インフレ耐性」と「安定収入」ですが、REITを買えば少額でその恩恵を受けられます。実際、REITの分配金利回りは4〜5%程度と魅力的で、管理の手間もなく、投資と言えると思います。

現在、私は、資産の一部を日本のREITインデックスに連動するETF(1343 NFJリート)を購入しています。

以前は、米国のREITインデックス連動も持っていましたが、投資をシンプルにするために売却しました。


今後の展望と考え方

将来的にリスクを分散する意味で、不動産投資を再度検討する可能性はゼロではありません。ただしそれは、次の条件を満たす場合に限るでしょう。

  • 私自身の資産の規模がある程度大きくなり、不動産を購入しても、適切なアセットアロケーションを構築できること。(資産の半分が不動産とかいう状況ではない)
  • 今の仕事を辞め、不動産賃貸業に時間を十分とれる状況になる。
  • 現金の保有がある程度貯まって、借り入れが少なくて済むような状況になる。
  • 小規模事業を行う方が税制面で有利に働く状況になる。

それまでは、ETF・REIT・株式を組み合わせたシンプルな資産形成を続けていくつもりです。

参考記事:アセットアロケーションとは何か?


まとめ

不動産投資は、確かに魅力的な側面があります。しかし私は見送っています。

結果として、私は「不動産を持たない」という判断をしました。代わりにETFやREITを活用することで、不動産のメリットを享受しつつ、リスクや手間を抑えた資産運用を続けています。

資産形成においては「万人に共通する正解」はなく、自分の価値観や生活スタイルに合う方法を選ぶことこそが重要だと思います。