はじめに
「仕事のストレスを晴らすために暴飲暴食をする」「疲れたからいつもは食べないような高い料理を食べる」といった行動をとる人は多いのではないでしょうか。確かに一時的な満足感は得られるとおもいます。私も以前はそういうことをしたこともありますが、最近は全くしなくなりました。
理由はごく単純で、暴飲暴食したらさらに疲れるだけだし、高いものを食べても疲れは取れないなと気付いたからです。
さらに、こういう時には、無駄遣いや予算を無視した支払いをして、資金繰りが悪くもなります。 では、疲れやストレスをどう扱うのか。私の答えはとてもシンプルです。
──歩く。お風呂に入る。そして寝る。
ご褒美でストレスは解消されない
「ストレスが溜まったから今日はケーキを食べる」「飲んで嫌なことを忘れる」。こうした行動で本当にストレスが消えるでしょうか?
心理学の研究では「ストレス発散としての暴飲暴食や衝動買いは、むしろ罪悪感や後悔につながりやすい」と報告されています。短期的な気分転換にはなっても、根本的な解決にはならないようです。
それよりも、身体と心をリセットする手段として「歩く」ことを選びます。
なぜ歩くのか──論文で示される効果
歩くことは、健常な多くの人にとって最も基本的な運動のひとつです。しかし、その効果は軽視できません。いくつかの研究結果をご紹介します。
- ストレスホルモンの低下 軽い有酸素運動(ウォーキングを含む)は、血中のコルチゾール濃度を下げる効果があると報告されています [5,6,7]。つまり歩くことで「ストレスホルモン」が減少し、心が落ち着きやすくなるのです。
- 心疾患リスクの低下 米国心臓協会(AHA)のレビューでは、1日30分程度のウォーキングを続けると心血管疾患のリスクが有意に低下すると示されています [1,2]。
- メンタルヘルスへの好影響 定期的なウォーキングがうつ症状の改善や不安軽減に寄与することがメタ解析で確認されています [3,4]。特に自然の中を歩く「グリーンエクササイズ」では、その効果がさらに高まるようです。
- 認知機能の維持 中高年を対象とした研究では、ウォーキング習慣のある人は認知症リスクが低いことが報告されています。脳の血流改善や神経可塑性の促進が背景にあると考えられます [4]。
私のストレス対処法
私の場合、ストレスを感じたらまず「歩く」ことから始めます。とことん歩く。歩いているうちに頭の中が整理され、体も心も軽くなっていくのを感じます。
その後はお風呂に入ってリラックスし、しっかり寝る。これだけです。シンプルですが、私にはこれが一番効果的です。
「歩く習慣」がもたらすもの
ここで強調したいのは、歩くことは「特別なご褒美」ではなく、日常の一部であるべきだということです。
- ストレスに振り回されない
- 健康を維持できる
- 翌日の集中力が高まる
- 長期的な生活習慣病予防につながる
ご褒美消費は一時的な満足に過ぎませんが、歩く習慣は未来の自分への最大の投資になります。
おわりに
ストレスを感じたとき、消費や暴飲暴食では解決しないと思っています。私の解決のための方法は「歩くこと」。そして、お風呂、睡眠。
シンプルですが、それが心と体を守り、次の日の自分を助けてくれると考えています。
参考文献
- Paluch AE, Bajpai S, Bassett DR Jr, et al. Prospective Association of Daily Steps With Cardiovascular Disease Events: A Meta-analysis of Cohort Studies. Circulation. 2023;147(17):1320-1330. doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.122.061288
- Perry AS, de Souto Barreto P, Kalache A, et al. Physical Activity Over the Lifecourse and Cardiovascular Disease: A Review of Mechanisms. Circ Res. 2023;133(8):718-736. doi:10.1161/CIRCRESAHA.123.322121
- Murtagh EM, Murphy MH, Boone-Heinonen J. Walking: the first steps in cardiovascular disease prevention. Curr Opin Cardiol. 2010;25(5):490-496. doi:10.1097/HCO.0b013e32833ce972
- Murtagh EM, Nichols L, Mohammed MA, et al. The effect of walking on risk factors for cardiovascular disease: An updated systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Prev Med. 2015;72:34-43. doi:10.1016/j.ypmed.2014.12.041
- Chan JSY, et al. The effects of exercise on cortisol and sleep: A systematic review. Sleep Med Rev. 2023;67:101745. doi:10.1016/j.smrv.2022.101745
- Marselle MR, et al. The impact of nature walks on cortisol and affect: A randomized controlled trial. J Environ Psychol. 2018;60:1-9. doi:10.1016/j.jenvp.2018.09.001
- Jezova D, et al. Reduced hair cortisol concentrations are associated with improved emotional wellbeing in older adults following repeated forest walking. Sci Rep. 2025;15:22087. doi:10.1038/s41598-025-08378-4