はじめに
投資というと、株式や投資信託に注目が集まりがちですが、私は資産の一部を社債にも振り分けています。 今回は、私が日本企業の社債や日本国債にどのようなスタンスを取っているのかについて、具体的な保有方針や考え方を紹介したいと思います。
社債について
社債とは?
社債(Corporate Bond)とは、企業が資金調達のために発行する債券です。投資家は、企業にお金を貸す形で社債を購入し、定期的に利息(クーポン)を受け取り、満期時に元本が返済されることを前提としています。
社債のリターン
社債のリターン(収益)は主に以下の2つです:
① 利息収入(クーポン)が一定の期間ごとに、決まった利率で利息が支払われます。 例:5年債で年利2.0%なら、毎年2%の利息が支払われ、5年後に元本が戻る。
② 場合によっては、売却益(キャピタルゲイン) 社債は途中で売却可能な場合もあり、市場金利の変動などにより時価が上下します。 金利が下がれば債券価格は上がり、売却時に利益が出ることもあります。
(自分が利率5%で額面100円の債券を持っているときに、次々と新規に発行される債券の利率が下がっていくとき、例えば新規発行債券の利率が3%になると、自分の持っている5%の債券の方が、100円で3%の新規債券よりも多く利息をもらえるため、5%の債券を額面より高くても欲しいという人が現れる。逆の場合には、価値は下がるには下がるが、デフォルトしない限り満期まで持っていれば元本は返ってくるので、償還さえされれば元本割れはしない。)
社債のリスク
社債にも他の投資商品と同様にいくつかのリスクがあります。
① 信用リスク(デフォルトリスク): 発行企業が倒産した場合、利息や元本が支払われないことがあります。
倒産までいかなくても、業績悪化で利息払えませんとか、元本の8割しか返せませんということもありえます。
国債の場合でも、アルゼンチンやギリシアのように国がなくなる訳では無いが、払えませんとなる例は珍しくありません。 このデフォルトのリスクを格付け機関が格付けし、格付けの低い企業の社債(ハイイールド債)は利回りが高い代わりに、このデフォルトのリスクも高まります。
② 流動性リスク :社債は株式ほど市場で活発に取引されないため、途中売却は難しことが多く、希望価格で売れないことがあります。
③ 金利変動リスク :市場金利が上昇すると、既存の固定利付債券の価値は下がる傾向があります。 これにより、売却時に損失が発生することもあります。
④ 償還延期・繰上償還リスク :一部の社債(特に劣後債など)には、企業側の判断で償還時期が延期されたり早まったりする条項があることがあります。
私が社債を保有する理由
私自身は、社債の中でもハイイールド債といわれる社債をいくつか保有しています。 購入にあたって最も重視しているのは、会社の業績そのものよりも、「その年限まで会社が存続しているかどうか、最低限きちんと償還してくれる程度には業績は維持できそうか」です。これは、社債が株式と異なり、原則として満期償還で元本が返ってくることを前提とした投資だからです。
■ 利回りの目安
高配当な株式の利回りが3.5%程度以上で、5年の固定日本国債の利率が約1%なので、劣後債には2.0〜2.5%程度の利回りがあれば、十分に検討対象になると思っています。株式ほどの値動きや元本毀損リスクがない(あくまで通常時)ことを考えると、低リスク資産としてはバランスのとれた選択肢だと感じています。
■保有期間とリスクのバランス
本音を言えば、2〜3年の短期間で償還される社債が理想です。しかし、実際に購入しているものは5年程度の中期債が中心です。 なぜかというと、短期の社債は発行数が限られており、利回りも相対的に低くなる傾向があるためです。5年くらいであれば、流動性や金利変動リスクの観点からも自分の許容範囲内と考えています。
■現金とは異なる低リスク資産としての位置づけ
社債は、私の中では「現金でもなく、株式でもない資産」としてカウントしています。 例えば、生活防衛資金や暴落時に備えた現金とは別に、安定性を確保しながらも多少の利回りを得たいという目的で、このような債券を組み入れています。
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日本国債について
日本国債については、だいぶと良くなってきたとはいえ、2025年9月時点では私の期待する利回りよりも低いこともあり、今のところ買ってはいません。ただ、50歳を超え、徐々に資産のリスクを落としていく状況になれば、固定3年に一部資金を振り分けることも視野には入れています。
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おわりに
社債は、仕組みを正しく理解したうえで使えば、株式に偏らない資産構成を実現するうえで有効な選択肢だと思います。 今までに、何とかショックとかで株式資産が20%とか40%とか棄損するときにでも、現金と社債部分は棄損されないので、資産全体の減少を緩和してくれます。
もちろん、社債はリスクのない投資ではなく、企業の信用リスクや流動性リスクもあります。それでも、時間分散・資産分散の一環として、リスクを限定しながらリターンを積み上げるには、有効な手段の一つだと私は考えています。
まとめ
- 社債は、会社の業績より「存続可能性」に着目
- 利回りは2.0〜2.5%程度が判断基準
- 保有期間は短いものの方が良いが、実際は3-5年程度のものが現実的
- 現金とも株とも違う低リスク資産としてポートフォリオに組み込んでいる