投資は、短期では壮絶な椅子取りゲームだが、長期では利益を享受する紳士淑女のパーティーである


短期トレードで疲れ果てた15年間

投資を始めて最初の15年ほど、1週間から1カ月くらいで売買する、あの当時はスイングトレードといわれていた比較的短期の取引をしていました。

実物だけではなく、信用取引もしましたし、FXなんかもしました。結果は、たぶんプラマイゼロくらいだったと思います。本当に恥ずかしい話なんですけど、一つ一つの取引のプラマイは意識していたのですが、1年とかの単位でのトータルの損益は意識してなかったんです。

証券口座の損益通算を見るくらいのことはしていたとは思うのですが、きちんと把握していなかったんです。

いま考えると、投資しながら、通算の損益を把握していないなんてちょっと意味がわからないですが、そんな感じでした。

短期の株式投資をしていると、日々の株価の上げ下げに一喜一憂してしまいます。 そして、そうした短期の取引では、どうしても“誰かが得すれば誰かが損をする”という構図になりがちです。

例えば、1株1000円で株を買った人が、1100円で売って利益を得たとします。その1100円で買った人は、下落局面に巻き込まれて1000円になったら損をします。こうした“利益の奪い合い”は、まさに短期売買における典型的な構図です。こういう参加者の損得を合わせれば結局ゼロになるゲームのことをゼロサムゲームといいます。ゼロどころか、税金や手数料を含めて考え、マイナスサムと言われることもあります。

ある種の才能があれば、このゼロサムゲームに勝って、お金持ちになれるのでしょうし、私も15年間そこを目指していました。しかし、私にはそんな才能はなかったので、今は、しっとりと長期的な投資をしているのだと思います。

(短期投資の才能があれば、この数年のyoutebeコンテンツとの出会いも無かったと思います)


長期投資は「企業の成長を分け合うパーティー」

長期的な視点で見れば、株式投資はゼロサムどころか「プラスサムゲーム」になります。 企業が商品やサービスを提供し、利益を上げ、配当を出し、株主価値を高めていく。 その過程に参加するのが長期投資です。

一企業、または多くの企業を一つの集団(なんらかのインデックス)としてまとめた場合の利益が、10年、20年と成長し続けることで、その価値は増し、株主はキャピタルゲイン(値上がり益)やインカムゲイン(配当)という形で“果実”を受け取ることができます。 これはもう「勝ち負け」の世界ではありません。企業の成長というごちそうを、みんなで分け合うパーティーのようなものです。


大切なのは「どこに座るか」そして「どれだけ長く座っていられるか」

短期売買は椅子取りゲームのようなものです。音楽(相場のノイズ)が止まった瞬間に椅子に座れるかどうかのスリルがありますが、誰かが座れないことが前提です。

一方、長期投資は違います。しっかりと一生涯投資に値すると判断する商品を選び、腰を据えて座っていれば、時間が、パーティーのサービススタッフのようにアルコールや料理を運んできてくれます。 もちろん、選ぶ投資対象を間違えてしまえば、出てくる料理が不味いこともあります。だからこそ、アセットアロケーションとポートフォリオの作成が大切になってきます。


最後に:投資で大切なのは「時間の使い方」

短期で利益を狙うことを否定はしませんし、私自身、未だに、その才能があれば、その中で利益を上げ続るようなトレードに憧れはあります。  しかし、特別な才能のない多くの人にとっては、ある種の企業やよく分散された投資信託のような価値あるものに投資し、その成長とともに歩むというスタンスのほうが、より現実的で安定した投資方法だと思います。

「投資は短期ではゼロサムで、長期では利益を享受するパーティーである」—— この言葉は、相場に翻弄されそうになるとき、自分を落ち着かせてくれる大切な指針になるかもしれません。